その日は、日曜日。
前日に引き続き、マラガへ行く予定。
旦那が見たがっていた闘牛を見に行くのだ。
午前中は、またまた、ホテルでのんびり。
昼ごろに、また、前の日と同じように電車に乗りマラガへ向かう。
私は、前の日の、すられ未遂のため、かなりビビっていて、
財布の中から、カードも出し、現金を50ユーロ位だけにして、
カメラも、コンパクトデジカメだけ持って行くことにした。
残りのお金や、デジイチは、ホテルの金庫に入れて。
昨日降りた駅の一つ手前のマラガ駅で降りる。
ガイドブックに出ていた小さな地図を見て、その駅の近くにショッピングセンターがあるようだったので、そこに行ってみようと思ったのだった。
マラガ駅は、かなり大きな駅で、中にショッピングモールもある。
着いた時には、ちょうど、シエスタの時間で、お店はどこも開いていない。
ショッピングモールの中の、なぜかアメリカンレストランに行って、昼食を食べる。
そろそろ、どこかお店があくんじゃないかなあと、外に出てみるも、
開く気配はなし…
地図を頼りに、ショッピングセンターがあるあたりへも行ってみた。
確かに、ショッピングセンターらしき建物はあって、
人も少しいるんだけど、店はあいていない。
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マラガ駅近くの教会 |
そこで、やっと気がついた。
あ!今日は日曜日か…
イギリスでは、今でこそ、日曜日もかなりのお店があいているようになったけど、
大陸の国々は、まだまだ、日曜日は、お店あいてないんだった…
しょぼ~ん…(´・ω・`)
さて、ここからどうする?
私は、飲食店が少しでも開いていて、涼しいマラガ駅に戻って、
カフェにでも入って、時間をつぶそうと言ったのだが、
旦那は、別のところに行ってみようと言う。
仕方なく、炎天下歩く。
マラガ駅の周りは、今開発中なのか、工事中のところが多く、
前日行った観光地区とは違い、殺伐として、埃っぽかった。
きれいな建物ばかりではなく、やはり、かなりさびれた場所もある。
スペインの経済状態の悪さを、目の当たりにした気がした。
途中で、長男が、おなかが痛いと言い始め、トイレを探す。
でも、どこも店があいていないので、
昨日のツーリストインフォメーションに、トイレがあったはずだからと、行くことに。
私は、大したものは入っていないけど、相変わらず、ななめがけのリュックを、
前に持ってきて、歩いていた。
インフォメーションは、昨日と比べると、ガラガラで、
人ごみにまぎれてスリを働くなんてことはできそうになく、
ちょっと、一安心。
長男がトイレから出てくるのを待って、
そこから、そのまま闘牛場まで歩いて行くことにした。
一本道だし、時間もあるし。
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インフォメーションのところから、闘牛場に続く道。 広い歩道に出店がいっぱい出ていた。 |
チケットを買うのに並んでいるのかなあ?
う~ん…よくわからないんだけど、旦那は、このままここで並ぶと言うのだ。
まだ、その時、4時すぎ。
闘牛が始まるのは午後6時なのだ。
ここで、2時間も待つの~????と、私と子供たちは、かなりいや~な顔をしたんだけど、
そうしている間にも、どんどん人がやってくる。
チケットはどこで買うのか、昨日、おじさんがくれた券で、本当にそのまま入れるのか、
どこでそれを聞けばいいのか、まったくなんにもわからない┐(´~`;)┌
でも、とりあえず、みんなが並んでいるところに並んでみる。
すると、スペイン人のおばさんがやってきて、何か話しかけられた。
でも、相手はスペイン語なので、さっぱり何を言っているのかわからない。
「No Spanish」と言って、手を振ると、さっさと、他の人のところへ行って、しゃべり始めた。
ただ、しゃべりたかっただけ?
5時が近くなると、かなり大きな人だかりに。
そして、それまで、適当にその辺に座ったり、固まってしゃべったりしていた人たちが、
門の前に、ザーッと集まりだした。
それにつられて、私たちも、門の前に。
その人ごみの中で、ふと、後ろを向くと、
小柄なスペイン人のおばちゃんが目に入った。
ちょっと、小金持ちっぽい感じのおばちゃんなんだけど、
何が目を引くって、そのおばちゃんの着ていたブラウス。
日本人なら、誰しも、目が釘付けになること間違いなし。
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「入学式・卒業式のお母様の装い」
「オンとオフを着わける」
「母から娘へ伝えたいきもの…」
もう、おばちゃんのブラウスから目が離せないのだ。
でも、じっと見つめるわけにも行かず、こっそり盗み見しては、笑いをこらえる私たち。
どこから取ってきたんだ、このセリフ!
和服の雑誌みたいな感じ?それとも、ちょっと年輩の奥様向けの雑誌?
スペインのおばさまたちには、かなりおしゃれな洋服なんだろうか?
このおばちゃんのブラウスのおかげで、退屈な待ち時間が、ちょっと楽しかった(笑)
おばちゃんのブラウスを見て、くすくす笑っていると、
そこへ、なんと、救急車が入ってきた。
何事?と思って、振り向くと、そこにも救急車が2台。
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救急車のデザインが日本のものと似ている |
そうこうしているうちに、時間は5時少し前。
周りの人たちが、ざわざわし始めた。
なになに?
なんか、早く開けろ~!!みたいな感じかな?
と思っていたら、目の前のドアが開いた!
すると、周りの人たちは、どど~っと、
ほんとに文字通り、どど~っと、入って行った。
その人の波におされるようにして、私たちも、闘牛場の中に。
あれ?チケットチェックしたりしなかった…
やっぱり、ただ?
誰もお金を払っているような人もいなかったし、チケットを持っている人もいなかった。
…え~!!ほんとに、ただなの?!
昨日キオスクのオジサンがくれた券は、招待状じゃなかったの?
と、ふと気がつくと、旦那と長男は、最前列に座っている。
私は、さすがに、最前列はいやだと、少し上の席に座った。
次男も、私の横に。
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マラガの闘牛場の中 |
中に入ってみると、
私たちが待っていた門から入ると、ちょうど、日蔭の席に座れるのだということがわかった。
それで、みんな、並んでいたのだ。
闘牛場は、地方の小さな野球場のような感じで、
コンクリートでできた階段状の椅子に座るようになっている。
どんどん人が入ってきて、気がつくと、日蔭の席は満杯。
でも、もちろん、日向の席は、ガラガラ。
野球場と同じように、飲み物を売りにお兄さんがやってくる。
私も何か飲み物を買おうかと思ったけど、
席と席の隙間が狭すぎて、お兄さんの所まで行くのが大変そうで、あきらめた。
6時になって、馬に乗った人が出てきた。
そして、その人に先導されるように、闘牛士たちが出てきた。
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闘牛士、いっぱい出てきた。 |
闘牛士の中でも、洋服がキラキラした人と、キラキラしていない人がいる。
ランクが違うのかな?
入場してきた闘牛士たちを見て、周りのスペイン人たちは、大興奮。
闘牛士たちは、出て来て、さっと挨拶をすると、
一番前の席とリンクの間にある待機場のようなところに入る。
そこには、各闘牛士のサポーターというか、コーチ?
お世話役?みたいな人もいて、闘牛士たちに声をかけたりしている。
そして、1試合(?)目が始まった。
全く私には、理解のできない世界だった。
そもそも、なぜこんなことをするのか、
なぜ、私の周りに座っている人たちは、これを見て、こんなに熱狂しているのか・・・。
スペインに来る前、息子の英語の先生に、最近は、動物愛護団体の抗議があるから、
闘牛の牛たちは、殺されないのだと聞いていた。
でも、それは間違っていた。
少なくとも、マラガの闘牛場では、そうではなかった。
牛たちは、必ず、リンク内で殺されなければならないのだ。
最初は、突進してくる牛を上の写真のように、華麗にさばく闘牛士。
でも、彼も、一人で戦っているわけではないのだ。
ランクが上の方の闘牛士1人がメインなんだけど、
他に4~5人いて、かわるがわる出てくるのだ。
そして、途中で、飾りのついた槍が、牛の背中に刺される。
それでも、向かってくる牛を、今度は、剣で一突きにするのだ。
そして、牛が、リンクの中で倒れると、メインの闘牛士は、勝利に酔いしれ、
観客たちは大声援を送る。
戦いっぷりがよかったと思う闘牛士には、みんな、立ちあがって、白いハンカチを振るのだ。
(ハンカチを持っていない人が多くて、テッシュを振っているのが、変だったけど(^_^;))
その日は、たまたま、有名人か街のえらい人か誰か来ていて、
闘牛士は、真剣を持つと、その人に向かってあいさつし、
牛が倒れると、また、その人にアピールする。
その後ろで、息絶えた牛は、3頭の馬に引かれてリンクから消えて行くのだ。
血の付いたリンクの土は、すぐにきれいに掃除され、
また、次の試合が始まる…
こうやって、一晩に6回の試合が行われる。
つまり、一晩に6頭の牛が殺されるのだ。
殺された牛たちは、闘牛場の中に解体場があり、そのまま食肉にされるのだそうだ。
これは、そのための儀式なのか?
ホテルに帰った後、ネットで調べてみたけど、詳しいことはわからなかった。
でも、普段、私たちが何気なく食べている牛肉、
スーパーに切られて並んでいると、それが、生きた牛だったことをあまり意識しないけれど、
もしかしたら、闘牛は、それをちゃんと意識するためにやっているのではないのかと、
闘牛を見た人たちは、ステーキを見ても、それが生きた牛だったことを知りながら食べるのだろうと、そう思えてきた。
そう思わなければ、なぜ、一晩に6頭もの牛が、観客の目の前で殺され、
それを見て、人が喜ぶのか、私には納得できそうもない。
いや、それでも、やっぱり、私の理解を超えたものだ。
結局、2試合目からは、どうなるかわかっているので、
最初のうちの血の出ない部分だけ少し見て、
あとは、私の前に座っていた子供たちを見ていた。
10歳くらいかと思われるお姉ちゃんと、5歳くらいの弟。
この二人がかわいくて面白くて。
5試合目が終わったところで、夜9時近くになっていたので、もう帰ることに。
一番前に座っていた旦那と長男と、合流すると、
ふたりは、他のスペイン人たちと同じように、大興奮していた。
男性と女性の違いなのか?理解できないやつらだ…
そのまま、また歩いて駅まで戻り、電車に乗ってトレモリノスまで帰った。
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トレモリノスの夜の街 |
私は、もちろん、チキンを食べたけどね。
続く…
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